FROY AAGRE 『KATALYZE』 2009/2/27

ノルウェーの女性サックス奏者FROY AAGREのバンド「OFFBEAT」を覚えていますでしょうか。確かな音色と表現力、センスを示したデビュー盤は、当時無名の存在ながらこのお茶の水ジャズ館を中心にちょっとしたヒットを記録しました。今作はその「OFFBEAT」待望の第二弾です。雄大さ、おおらかさを感じさせた前作の質感はそのまま、時に神秘的に時にアグレッシブに、より表現の幅を広げています。この奏者の魅力はまず、素朴だけれど骨太で芯の強さを感じさせる音色にあるのではないでしょうか。とてもオーソドックスで「まさしくテナー」「いかにもソプラノ」な音色ゆえ、パッと聴き地味な印象を受けるかもしれません。しかしこれほどまでに「実が詰まった」演奏が出来る奏者はなかなかいないのではないでしょうか。朗々と歌うテナーが好きな方や、欧州系ピアノ・トリオのサウンドが好きな方、そしてもちろん北欧系コンテンポラリー・ジャズが好きな方など、様々な方にお薦めしたい作品です(「とにかくテンションがあがる」とか「鋭い」作品をお求めの方には向かないかもしれませんが)。この2月には来日公演も果たすなど、ますます精力的になる活動に注目です。